風とおどるのかい
小回りの効く言葉をスイスイ使いこなしている人の文章を読んだり話を聞いたりすると、僕は「ひょー!大したもんだじぇこのヤロォー!」と思います。
このやろっ、このやろっ、僕もそんくらい出来るようになりてぇぜ!と悔しい気持ちになります。
でも、そんな時に外に出ると、空はひろびろとすみわたり、山はこうこうとかがやいてたたずんでいるのでした。空や山を見るだけで、「僕は今まで何をごちゃごちゃ考えていたんだろう」と、さっきまでの自分がえらくちっぽけに見えてしまいます。
巧みに言葉を操ることができる人を、僕はすごいと思う。逆に、自分自身が言葉をうまく扱えないことをまどろっこしく思う。
だけれども、あの空や山は、何も言わず、何も語らずとも、人をずーっとひろびろとした気持ちにしてくれる。
なんてこった。実にすがすがしい敗北感。まるで世界に抱かれているようだぜこのやろう。